RITOFU

変わらないために変わり続ける
京友禅の手しごとを日常に

2023.8.1

 

皇室の方々もお召しになる「染匠」

染め、織り、刺繍といった日本の美意識が凝縮された着物。

 

 

平安時代に現在の着物の形が誕生したといわれ、長い歴史とともに日本各地で生産技術が発達しました。

 

 

そのなかでも西陣織や京友禅、京小紋など、着物の最大産地として名を馳せる京都。

 

 

そんな京都の地で、手描き京友禅の匠の技と高貴な美しさを未来に伝えるのが彩琳株式会社。皇室の方々も数多くお召しになる手描き友禅の染匠として日本を代表する「藤井寛のきもの」でも名が知られています。

 

 

そして、皇室献上作家とも呼ばれる藤井 寛さんから2020年に家業を引き継いだのが、代表の藤井 友子さんです。幼少期から伝統工芸に触れてきた藤井さんに、「変わらないために変わり続ける」大切さについてお話を伺いました。

 

 

藤井 友子さん

藤井 友子 さん 

 

 


 

 

わずか1割の、希少な「手描き友禅」

染色の中でも「京友禅」は、優美な図案に世界で例のないほどの多色使いで刺繍や金箔を施す華やかさが特徴とされ、自然文様のほか有職文様なども多く描かれています。

 

 

なかでも彩琳の特筆すべき技法は、やはり他では真似できない独自の友禅技法。

 

 

皇室からも愛される「藤井 寛のきもの」 皇室からも愛される「藤井 寛のきもの」

 

 

手描き友禅はその名のごとく、染匠の頭の中にある図案を、下絵から全て手描きで描いていきます。通常、着色は筆を用いるところ、彩琳ではより高度な技術が求められる幅の広い刷毛を用いて、絹地でも芯までしっかり染め付け、奥行き深い色味を表現しています。

 

 

高度な技術を要する刷毛での染色

高度な技術を要する刷毛での染色 

 

現在、振袖の約9割がインクジェットプリントになり、京友禅のような手仕事の着物は全体の1割以下になってしまい、技術の継承も難しくなってきています。 

 

友禅の着物をつくるには、下絵、糊置き、引染、挿友禅、仕上げなど15ほどの工程があり、それぞれに専門の職人がいます。今では職人の多くは独立して外注となっていますが、私たちは古くから職人と直接契約をしているので、技術を必要とする多色使いの絶妙なグラデーションや刷毛塗りなどが、他では真似のできない独自技法となっています。

 

 全て職人の手仕事で仕上げられる手描き友禅

 

 


 

 

「自分を表現する着物」で女性の魅力を引き出す

先人たちから伝わる数々の素晴らしい伝統工芸。

そんな手仕事の繊細な美しさを、現代を生きる女性に向けて提案されているのが彩琳の新ブランド「RITOFU(リトフ)」です。

 

業界的に昔から続く慣習があり、オンラインなどの購入や発信に興味をもっている生産者はまだまだ少ないです。

 

日本人が古くより大切にしてきた技術や美意識はやはり守っていきたいですし、だからといって古いだけがいいわけではないと思っています。今の時代に合う女性の楽しみ、ファッション性をしっかりキャッチしていくことが大切だと感じています。

 

いいものを残すために、新しいチャレンジの必要性感じていて、私はコロナ禍中に代表に就任したので、着物をオンラインで購入いただける準備に充てることができました。

 

今まで着物を着る習慣がなかった方にも、着物を日常で楽しんでほしい。という想いから、クラッチバッグやポーチなど小物の品揃えに着物を追加。

「藤井 寛のきもの」とは世界観の異なる、大人の女性が自分を表現するための着物スタイルを提案しています。

 

着物は敷居が高く、お洋服とは全然違って難しいと考える方が多いと思うんです。そういう面でもファッションとして色や柄を純粋に楽しめるような、「自分のための着物」を提案していきたいです。

 

女性が年を重ねていく過程で、着物はその年齢の魅力をひき出すことができるのではないでしょうか。RITOFUでは、大人の女性が美しく見えるような、お顔写りが良い色や、お洋服のトレンドも取り入れています

 

着物を着ることで華やかな気分となり、自分に自信が湧くようなきっかけとなれば嬉しいです。洋服の集まりの中でも、浮かない、野暮ったくならず、おしゃれにお召しいただけますので、ランチなどでも気軽にお召しいただきたいです。

 

そういった「自分がきらきら輝く日」をつくることが、人生のハリにも繋がると思うんです。

 

RITOFUの着物

 

 


 

 

「感情が動くのは手しごとで作られたもの」

 

着るものに限らず、目まぐるしい日々のなか「自分のためになにを選ぶか」は心の潤いに繋がる大切な選択。藤井さんは、効率化された大量生産社会のなかでも、感情が動くときめきを大切にしてほしい、といいます。

 

日常を過ごす上では機能的で便利なものを使うことは助かる存在である一方、そういったコモディティ化されたものは、自分の感情を盛り上げるものではないと感じます。

 

そうすると日常がずっと同じ日々の繰り返しになってしまうので、特別な日や節目の時などには、人生を楽しむものとして、やはり手仕事で作られたものや、繊細で時間をかけ作られたものに触れ、情感を潤すことが大切になってくるのではないでしょうか。

 

RITOFUの着物

 

 


 

 

世界へ誇る「世界観、美意識、ストーリー」のジャパンラグジュアリー

名匠の父から受け継がれた着物という伝統文化を守りながら、時代の流れに柔軟な藤井さん。次世代へ向けて着物の新たなスタイルを提案する根幹には、日本文化への深い敬意と愛があります。

 

繊細さを人の手で表す日本文化は、他の国にない素晴らしいものだと思います。

 

今は新たな技術が次々と生まれ、世の中がどんどん早くなっていますが、それと同時に、技術は陳腐化されていくのも早いと感じます。

 

一方で日本や京都の伝統文化は、長い時間をかけて育まれた独自世界観や美意識、ストーリーがあります。海外から見ても興味をもってくださる方の多い、日本の誇るべき文化です。

 

変わらないために、変わり続ける。

京友禅の文化、技術を継承しながら、これからも日常で煌めく新たな着物スタイルで、私たちをときめかせ、驚かせてくれるでしょう。