どういう想いでつくられたか。
それこそが、付加価値だと思います。
my Emotion vol.1
大西 洋さん
By Emotionが目利きの方々に、
思わず気持ちが動くモノを伺う「my Emotion」。
第1回は、元三越伊勢丹ホールディングス社長、
羽田未来総合研究所代表取締役社長の大西 洋さん。
2022.5.19
男性のファッションは、一般的にはスーツ、シャツ、ネクタイと言われることが多いんです。トータルのバランスが重要なのですが、靴はファッションの概念から外されてしまうことが多々あります。
でも私は、靴こそ重要なアイテムである、とずっと思っています。
十数年前に「毎日ファッション大賞」で伊勢丹メンズ館が大賞を取って、私の前任の代表が登壇して表彰を受けました。彼は靴が好きで、その日もEDWARD GREEN(エドワードグリーン)の素敵な靴を履いていらしたんですけど、会場にいた周りの人の足元を見まわすと、スーツはいいものを着ていても、靴まで気を遣えている人はあまりいませんでしたね。
その時に「自分の働いている会社のトップがファッションにこだわりがある方でよかったな」と思えて、誇りに感じました。
また靴の話をすると、「神様」といわれるシルバノ・ラッタンジという人がいて。
以前伊勢丹で彼のオーダー会を行った時に、朝一番で30代前半の男性がいらして。その方を私がご案内したときに、涙ながらに「僕は広島から来ました。18歳の時にイタリアでラッタンジのお店を見て、自分がこの靴を履けるようになった時に社会人として認められる」と。
それを目標に起業もされて、やっとそういった立場になったと、百数十万円もするオーダー靴を2、3足買っていただきました。
自分もそういう方とお話をするときに、同じ靴を履いてみないとその方の気持ちがわからないだろうと思い、今ではオーダー品と既製品あわせて4足持っています。
この年になってこういう仕事をしていますと、つくり手の顔が目に浮かぶんですね。
つくり手がどういう想いでこの素材を選んだのか。つくり手は誰が使ってくれるかをきっと考えながら作っていると思うんです。
そういったことが価格にもっと反映されていいし、それこそが付加価値だと思います。
以前はそんなこともなかったのですが、自宅で食事する機会が増えたので、スーパーでも野菜やお肉、フルーツ選ぶときも生産者を意識するようになりましたね。
みなさんも口に入れるものは特に意識すると思います。By Emotionの中では『角長』の醤油や、『Olio di Porrona』のエキストラバージンオリーブオイルなどは、製品へのこだわりや想いが伝わってきます。
品質が良いことはテキストを読めばわかりますし、日常使いするものだからこそちょっと良いものを選びたいですね。贈り物にも最適だと思います。
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大西 洋(おおにし・ひろし)
日本空港ビルデング株式会社 取締役副社長執行役員
株式会社羽田未来総合研究所 代表取締役社長執行役員
三越伊勢丹ホールディングス社長を経て、2018年6月より日本空港ビルデング取締役副社長、7月から羽田未来総合研究所代表取締役社長を兼任。
羽田空港内外での地方創生・文化・アートの発信、新しい価値の創造に力を入れている。