ドリームヒル・トムラウシ
トムラウシ山の豊かな恵みを
贅沢に使用した新しい「缶詰」
2021.8.6
大雪山のふもとで育った原料をふんだんに
「大雪山系」と呼ばれる山々に囲まれた北海道・新得町。人口は約6000人程度ですが、町内で育つ牛の数は約3万3000頭。町の総面積は約1,064 km²と、 ひとつの町だけで東京都の約半分以上もの広大な面積を誇ります。
新得町には「トムラウシ山」があり、大雪山を包む広範囲が国立公園に指定されるほどの豊かな自然が魅力。 地元の人々に愛されているだけでなく、登山愛好者のなかでは「生きているうちに絶対に一度は登りたい山」と言われているそうです。
トムラウシ山を望む
そんな新得町で育ったエゾ鹿、ジャージー牛、新得地鶏の種鶏肉、仔羊という豊かな自然の恵みの味を「缶詰」というまったく新しいかたちで伝えるのが、「tomraushi お肉がおいしい煮込み料理シリーズ」通称「TOMCAN(トムカン)」。
企画・開発に携わったのは、エゾ鹿の生態捕獲や処理・加工販売などを実施する「ドリームヒル・トムラウシ」で事業所長をつとめる髙倉豊さんです。
新得町の魅力を持ち帰ってもらいたい
髙倉さんは帯広で生まれ育ち、専門学校卒業後はホテルに就職。オランダ・アムステルダム、東京、福岡のそれぞれの系列ホテルにて、鉄板焼レストランなどでシェフとして働いていました。
ドリームヒル・トムラウシ事業所長 髙倉 豊さん
TOMCANが生まれた背景には、高倉さんをはじめとする、町の人たちのこんな想いがあったそうです。
新得町には、たとえば私たちも扱っているエゾ鹿もそうですが、食肉用ジャージー牛や国産のラム、北海道ではめずらしい地鶏と、希少性の高いおもしろいお肉がたくさんあります。
あるとき、新得町に遊びに来てくれた人たちに町の魅力をアピールできるものを町内でつくれないか、という話になって。
とはいえソーセージなどの冷蔵・冷凍品を旅先から持ち帰るのは大変だし、自宅に郵送するのも手間になる。『常温で、多少重みはあってもそのまま持ち帰れるものを』ということで、いくつかのアイデアを経て、缶詰というかたちにたどり着きました。
「缶詰」は肉を表現するための手段
TOMCANのコンセプトは「自分たちの肉をいかに表現するか」。缶詰をつくることが目的ではなく、あくまで「新得町の大自然のなかで育った肉」のおいしさを最良のかたちで知ってもらうために、缶詰という手段が選ばれました。
とはいえ、缶詰の製造は初めてのこと。研究開発は決して簡単なものではなかったと、高倉さんは振り返ります。
そもそも缶詰は、常温保存できる状態にするため、調理したものを缶に詰めて密閉し、120℃以上の温度帯の圧力鍋に缶ごと投入して数十分間加熱して殺菌する「加圧加熱」が必要になるそうで、そこが特にむずかしかったそうです。
調理をしてせっかく『おいしくできた』と思っても、加圧加熱をすることで香りがなくなってしまったり、風味が変わったり、肉がボロボロになってしまったりと、予想と異なる仕上がりになってしまうことがたびたびあり、何度も改良を重ねました。
TOMCANを新得町の「定番アイテム」に
試行錯誤の末、エゾ鹿を使用した3種類の缶詰が完成。その一年後には高倉さんたちの缶詰製造のスキルを活かし、各生産者が集まって話し合いながら、牛、鶏、仔羊を使用したそれぞれの缶詰を開発。2017年より、計6種類のTOMCANの販売が開始されました。
どれも缶を開けると肉がぎっしりと詰まっていて、一般的な「缶詰」のイメージとは大きくかけ離れています。これは、新得町で育てられた肉を、最大限においしく楽しんでもらいたいという想いからだそうです。
缶詰としてはやや高めの価格帯であることもあり、当初は「買ってもらえないのではないか」という不安もあったそう。しかし地元の駅や町内の施設などで販売を開始したところ、予想以上の売れ行きに驚いたそうです。
原料の肉はもちろん、使われている野菜や調味料などの数も多いため、自分でゼロからつくろうとすると、ものすごく時間がかかって大変です。
手の込んだものを食べたいときに食卓のメインとして、また、人を呼んでパーティーをするようなシーンの一品にしていただいても嬉しいです
と、高倉さんはいいます。
今後は、TOMCANを新得町の「定番アイテム」として大切に続けながら、より多くの人に気軽に手に取ってもらえるような商品をつくっていきたいという目標もあるそうです。
缶詰でありながら、想像以上のクオリティと驚きを閉じ込めた「TOMCAN」シリーズ。高倉さんたちの新得町やトムラウシ山への心からの愛情から生まれ、北海道の大自然の恵みに満ちた本ブランドは、これからも末永く愛されていくはずです。