KAMIKA
フランス伝統工芸から生まれた
まったくあたらしい「紙製品」
2021.7.30
画期的な紙製品ブランド「KAMIKA」
フランスの伝統工芸として知られる「カルトナージュ」。カルトンと呼ばれる厚紙をカットして組み立てた箱に布や紙を貼り、小物入れなどをつくるというものです。
そんなカルトナージュの手法を活かし、ハイセンスなデザインの名刺入れやアクセサリーなど、まったくあたらしいアイテムづくりに取り組むのが、2018年からスタートした「KAMIKA」。
地元大分県でブランドを立ち上げ、現在、すべてのアイテムの製作をおひとりで担当されているのが、後藤 美佳さんです。
おしゃれで機能的な紙製品に感動
もともと手先が器用で、子どものころから折り紙や工作などが大の得意だったという後藤さん。
カルトナージュとの本格的な出会いは、いまから15年ほど前。当時勤務していたフラワーショップでウエディング関連小物を扱っていた関係から、レースやリボンなどの素材買付けの同行で、パリへ行ったことがきっかけでした。
蚤の市で売られているアンティークカルトナージュや、お店の什器として大切に使われている布箱や紙箱を目にして、とても感動しました。
カルトナージュに惹かれた理由は、サイズ、生地、装飾などを自分好みにカスタマイズできるところ。手軽にかわいいものをつくるというより、機能性や耐久性を考えて設計し、手間をかけて長く使えるものをつくることができる点に、強い魅力を感じました。
『紙からこんなに素敵なものがつくれるのか』と、心からワクワクしましたね。
帰国後、カルトナージュの製作に取り組むようになった後藤さん。カルトナージュ教室の先生に師事し、自身も約10年ほど、講師として教室を運営していました。
カルトナージュをビジネスアイテムに
KAMIKAのアイテムは、いわゆる一般的なイメージの「手芸品」とは大きく異なる、ハイセンスで機能性の高い仕様が魅力。メインアイテムの名刺入れは、教室のレッスン用として自作したことが最初でした。
名刺交換をするようになってから、凝った名刺をつくっている人はいても、名刺入れにまでこだわっている人は意外と少ないな、と感じていました
と、後藤さんは振り返ります。
あるとき、後藤さんは参加していた「おおいたクリエイティブ実践カレッジ」に自作の名刺入れを持参。カレッジの運営者にすすめられ、本格的に名刺入れの製作に着手することになります。
ひとり大量の製品づくりに取り組む日々。モニターの声なども参考にしながら改良を重ね、無事に商品化が実現。デザインは、プロダクトデザイナーや建築士の方などにも協力を仰ぎました。
微細な調整で美しい製品づくりを
シンプルなように見えて、高品質なカルトナージュ製品をつくるのは決して簡単ではありません。
多くは手作業で、名刺入れの場合、カットした革風紙にマグネットを埋め込んだ台紙を貼り、角の処理や加工などをして外側と内側を張り合わせ、1~2日重石をします。刻印後に検品し、角に防水ニスをつけ乾かして完成と、多くの工程を経ているとのこと。
自分なりに「美しくない」と感じる仕上がりのときにはつくり直すこともあり、作業の過程で、1ミリ以下の微細な調整等をされているそうです。
名刺入れの場合は、表側から見たとき、中にマグネットが入っていることが分からないように調整しています。紙の削り具合で、へこんでみえたり盛り上がって見えたりすることがあるんです。土台の紙も見えないよう、角の処理にも細心の注意を払います。
左右・中心のずれがないことや、内側の紙を均等にまっすぐにするためのカットや貼り方なども意識しています。
後藤さんは、KAMIKAを続けるなかで感じるやりがいや大切にしていることについて、こう話します。
価値を感じてくださる方に喜んでいただけることが最大の喜びであり、私の原動力です。自分が納得いくレベルのものを、長く使っていただきたい一心で製作しています。手づくりですが、毎回同じクオリティのものをお届けすることを心がけています。
一般的にハンドメイド商品は安価なものが多く、価値を価格に反映させることは簡単ではありません。製品として販売する以上、つくり手としてそれなりの覚悟が必要だと常に感じています。
『KAMIKAの名刺入れがよいコミュニケーションツールになった』などという声をいただくと、本当にうれしいです。最近は対面で名刺交換をする機会は減っているかもしれませんが、やはり人との交流の第一歩となるツールとして、今後も必要だと考えています。
その方らしいカラーや個性を表現でき、楽しみながら活用いただけるツールを、これからもつくり続けたいです。
紙をつかったまったくあたらしいプロダクト「KAMIKA」。それぞれが自分らしくいきいきと個性を発揮できるいまの時代の流れに、末永く寄り添うブランドになるはずです。