ウッドベリーズ

同級生3人で叶えた夢
一杯に込められた素材の追求心

2021.7.2

 

素材の組み合わせは「1+12」以上

アイスクリームやジェラート店が数多く存在するなかで、フローズンヨーグルトを専門に20年以上愛されるお店が東京、吉祥寺にあります。素材本来の優しい味わいが世代を問わず愛され、買い物帰りなどのお客さんで賑わうのが、生フローズンヨーグルト専門店の「ウッドベリーズ」。

 

 

ウッドベリーズのフローズンヨーグルトは、あえて名前に「生」が付けられています。それは、自然環境のよい八ヶ岳で採れる牛乳を原料とし、自社のヨーグルト工房にて自家発酵させた乳酸菌の生きたヨーグルトを使用しているから。

 

 

そして、ヨーグルトにあわせる果物にも「生」へのこだわりが。

味や品質にこだわり、本当に美味しいと思える果物だけを生産農家さんから直接仕入れを行う徹底ぶり。

 

基本的なことですが素材の味をちゃんとさせることを何よりも大切にしています。ヨーグルトと果物の組み合わせが1+1=1.5ではだめで、1+1=2以上になるものしか出さないようにしています。

 

そう語ってくれたのは、ウッドベリーズ代表の田川 素彦さん。

 

ウッドベリーズ代表の田川

 

生まれ育った吉祥寺の地で、20年以上フローズンヨーグルトの自然な味わいを追求し続ける田川さんは、滲み出る温厚な人柄とはうらはらに、妥協なき製品へのこだわりを語ってくれました。

 

 




カナダ旅行での偶然の出会い

まだインターネットも普及していなかった1998年頃、ウッドベリーズは吉祥寺に第1号店をオープンさせます。(現在の吉祥寺本店)

 

オープン当時のウッドベリーズ本店

オープン当時のウッドベリーズ本店

 

その頃は、今以上に日本でのフローズンヨーグルトへの認知度が低かったそうですが、田川さんとフローズンヨーグルトの出会いは、高校時代の同級生2人と行ったカナダ旅行がきっかけだったといいます。

 

バンクーバーの市場で食べたフローズンヨーグルトが凄く美味しかったんです。そして帰国後に「あれ日本でやりたいよな」って話が3人の中で自然と出てきて。

 

でも当時はネットもなく作り方を調べる術もなくて、試行錯誤しながら作っていたんですが、結局もう一回3人でカナダに行ったんですよ(笑)

 

しかし再訪問で前回と同じフローズンヨーグルトを食べたとき、「あれ?自分たちで作っていたやつの方が美味しいな」と、その瞬間答え合わせができたといいます。

 

 

美味しい記憶で留まっていたカナダの味を、自分たちが超えていることに気づいたとき、「自分たちでつくろう!」と、同級生3人で決意。当時の田川さんは社会人として半年ほど働いていましたが、サラリーマンは自分には不向きだと感じていたタイミング、向かう道が見えたそうです。

 

 

そして決意からわずか半年で、オープンに漕ぎつけたというウッドベリーズ。


当時はパワーと意地がすごかったですね(笑)当時のことを今でも思い出せないくらい我武者羅でした。そして当時配合した味を、今でも超えることはできていないんです。

 

オープン当時のウッドベリーズ

オープン当時のウッドベリーズ

 

 




転機の10年目、本質の追及

オープン当時の味を超えられないと、笑顔で語ってくれた田川さん。しかし、ウッドベリーズとして大きな転換期になったのはオープンから10年目だったと振り返ります。

 

都内に数店舗出していたお店が吉祥寺の1店舗のみになってしまった10年目に、このままじゃまずいと全てを見直したんです。本当に美味しいものだけをお届けしたいと、素材から本気で取り組みました。

 

そこから自社のヨーグルト工房を構え、研究、開発に取り組んだという田川さん。ヨーグルトの酸味や味は乳酸菌の影響により変化するため、無限にあるという菌の組み合わせが鍵となります。冷やしてアイス状にしても、しっかりとヨーグルトの酸味とコクを感じられるよう、何度も試作し編み出したという独自製法の「生」ヨーグルト

 

 

製造以上に、菌を扱う環境では掃除や温度調整が大変だという田川さんですが、納得のいく味を提供するには、自社工房での自家発酵が必須。ちなみにウッドベリーズを共に創業した、同級生の1人が工房を管理してくれているといいます。

 

工房を管理

 

そして果物も、以前までの市場仕入れではなく、生産農家さんからの直接仕入れに切り替えたといいます。市場に出回る果物は見た目が優先され、味の品質が安定しないことを以前から悩んでいたという田川さん。

 

 

自身で直接農家を訪ねるなどして、今では信頼のおける確かな品質の果物だけを提供しているといいます。

 

確かな品質の果物だけを提供

 

加工品などは一切使用せず、ほとんどが国産の果物を使用。短い季節しか提供できないものや、あまり聞き馴染みのない珍しい果物まで、今では全国約50の農家さんから仕入れを行っています。

 

 




ヨーグルト嫌いにこそ食べてほしい

そんな絶品の果物をつくる農家さんとの出会いのなかで、「果実そのものの美味しさを味わってほしい」と、パフェなどのメニューも提供する「ウッドベリーズ  マルシェ店」を、本店と同じく吉祥寺にオープンさせたといいます。

 

ウッドベリーズ

ウッドベリーズ マルシェ店内

 

化学的な味が苦手な方や、ヨーグルトが本来苦手な方にも食べていただきたいですね。うちのスタッフで元々ヨーグルトが苦手な子もハマりましたから。

 

そう語る田川さんも、実は甘いものやヨーグルトが苦手だったというから驚きます。

 

お菓子の人工的な甘みや、ヨーグルトの強すぎる酸味などが苦手でしたね。正直それは今も変わってません。

でもだからこそ、ヨーグルトと果物の組み合わせから生まれる相乗効果で、フローズンヨーグルトの幅を広げることができると思っています。

 

ウッドベリーズのフローズンヨーグルトは、食べたあとも喉が渇かないほど、さわやかな後味が心地よく、素材のよさを活かした味わいは、アイスクリームやジェラートとも全くの別物です。

 

今後もフローズンヨーグルトを突き詰め、極めていきたいですね。

ヨーグルトが苦手という方にも、ぜひ食べていただきたい。うちのを食べてダメなら仕方ないです(笑)

 

吉祥寺の街で、ほっと笑顔になる一杯のフローズンヨーグルト。


 

他では味わうことのできない、その自然で優しい味わいは、今日も多くの人を笑顔にしています。