TESIO

物語ごと噛みしめてほしい
沖縄コザの自家製ソーセージ

 Nao Odani

 

 

ドイツ国際コンテストIFFAで金賞受賞の実力派

 

赤、青、黄色。原色が鮮やかで、陽気さがただようお洒落なボックス。

 

 

持つとずしりと重みがある。中にはなにが入っているんだろう?

 

 

わくわくしながら箱を開けると、なかから出てきたのは、大きさも形も色も様々な、見るからにおいしそうな個性あふれるソーセージとハム。そのひとつひとつが、堂々と自信にあふれた佇まいで、のぞき込むこちらの目を見て訴えかけてくる。

 

 

「この色珍しいでしょう?」「この粒々がおいしさの秘訣なの」

 

 

ソーセージやハムに感情が動かされたのは初めてだ。

 

 

ハムとソーセージ

 

こんな宝箱を開けるような高揚感を共有したくて、親しい人に何か嬉しい事があったとき、誰かにお礼を伝えたいとき、普段会えない誰かと食卓を共に出来るとき…

 

 

そんな少し特別なときに、私はTESIOのソーセージを贈る。相手の喜ぶ顔が思い浮かぶ、間違いのない一品だ。

 

 




コザの街でかかる魔法 

そんな生き生きとしたソーセージが作られているのは、沖縄県沖縄市。那覇から車で50分程離れた、かつてコザと呼ばれていた場所だ。

 

 

沖縄といえば青い海・白い砂浜や、土産物屋が並ぶ国際通り、大型レジャー施設など、活気のある南国リゾートのイメージが強い。しかしここコザは、観光地とは違い人々が肩肘張らずに素のままで生活している人間味溢れる街であり、同時に米軍基地の城下町として発展した異国情緒が色濃く漂う街である。

 

 

「ゲート通り」と呼ばれるこの街のメインストリートは、週末の夜になると、ここが令和時代の日本とは思えないような非日常的な雰囲気に包まれる。通りにはチェーン店やコンビニなどの見慣れた看板はひとつもなく、一昔前のアメリカ映画から飛び出したようなバーやライブハウスが軒を連ねる。

 

 

ノスタルジックで煌びやかな店のネオンが通りを照らし、あちこちから音楽が響き渡る。踊るように体を揺らしながら道を行く人たちの笑い声が通り中にあふれ、まぶしくて、にぎやかで、魔法にかかったようにきらきらしている。

 

 

コザの街並み

コザのバー

 

しかし夜が明け、日が昇ると魔法がとける。

 

 

コザの街

 

通りに溢れていた人々はぱたりと姿を消し、喧噪に包まれていた店はシャッターを重く閉ざす。通り過ぎる車のエンジン音が静かに響き渡っている。昨夜の光景は幻だったのかと思うほど、落ち着き払った現実味のある街。

 

 

そんな現実に戻ったゲート通りに、まるでそこだけ魔法がかかったままかのように明るく光る活気溢れる店がある。

 

 

それがシャルキュトリー(食肉加工食品屋)TESIOだ。

 

 

TESIO店舗

 

TESIOは手塩にかけてソーセージを作り、ひとつひとつに命を吹き込む。それらのソーセージはまるで魔法にかけられたかのように生き生きとしていて、今にも動き出しそうだ。

 

 




コザと人々のかけ橋 

明るく開放的なガラス扉を開け一歩足を踏み入れると、たちまちその世界観に引き込まれる。アンティークな装飾品が店内を彩り、とてもソーセージ屋とは思えない。

 

 

TESIO店舗内観

TESIO店舗内観

 

正面に構えるショーケースの中には、様々な種類の色鮮やかなハムやソーセージが、デコレーションされたケーキのように美しく並んでいる。

 

 

ハムとソーセージ

ハムとソーセージ

 

この煌めくハムやソーセージたちは、美しいだけでなく実力も申し分ない。本格的なドイツ製法でつくられ、オールハンドメイド。

 

 

ソーセージ生産場面

 

その評判は海を越え、都内の一等地にある食のセレクトショップや話題のレストランでも訪れる人々を魅了している。また、2019年にはドイツ国際コンテストIFFA(食肉業界最大規模の国際見本市)において、出品された3アイテム全てが金賞を含む賞を獲得するという快挙を成し遂げている。

 

 

その快進撃の原動力は、店主・嶺井大地さんの「TESIOのハムやソーセージを通じてコザという街の魅力も感じてもらいたい」という熱い想いだ。街づくりの中心人物でもある嶺井さんは、地域の人々との絆が強い。

 

 

TESIO店舗

 

周囲の店とのコラボレーションにも積極的に取り組み、常に新しいものや企画を生み出し人々をわくわくさせている。TESIOのソーセージを目的に店を訪れた人が、そのままコザの街のファンになることも珍しくない。

 

 




会話の生まれるソーセージ 

ソーセージ生産場面

 

沖縄発のハム・ソーセージというアイデンティティを大切にし、島とうがらしや泡盛などの沖縄県産の材料にもこだわっている嶺井さん。

 

 

「世の中にはたくさんのおいしいソーセージがあるなかで、TESIOにしか出せない『味』を模索している」という。そんなTESIOならではの「味」を出すのは、素材やスパイスなどの味覚だけのものではない。その裏にあるストーリーやエピソードが極上の味付けなのだ、と嶺井さんは語る。

 

 

味付けのひとつが、加工肉の命ともいうべき原材料の精肉だ。TESIOが肉を仕入れているのは、店のすぐ裏にある「普久原精肉店」。この精肉店では、肉屋の店主が自ら吊るされた豚を、パーツに分けて、捌いている。

 

 

普久原精肉店

 

それを彼が自分で肩に担ぎTESIOまで持ってきてくれる。どこか遠くの工場で、知らない誰かがパックに詰めて、宅配業者が判子と引き換えに置いていく、そんな流れ作業に乗って届けられる肉とは違う。この上なく新鮮で、人情が込められた特別な肉だ。

 

 

このソーセージにはコザの人々との絆やドラマが詰まっている。TESIOのハム・ソーセージが詰まった箱を開けたとき、声を掛けられていると感じたのはこのためだったのか。

 

 

箱の中には各々の特徴やおすすめの味わい方が記されたカードがある。それを見て、ソーセージと会話しながらじっくり味わってみてほしい。

 

 

TESIOのソーセージが生み出す魔法により、どこにでもあるいつもの食卓に、生命が吹き込まれきらきらと輝きだすはずだ。