これは書道のイノベーション
名刺サイズでカフェで一筆を
吉田陶芸 花陶硯 プチ硯セット
通常販売価格
手紙や葉書はめっきり減り、メールに置きかわったが、たまに手書きのお便りをもらうと嬉しい気持ちになる。その手書きも、万年筆やボールペンでもいいが、毛筆で書かれた筆文字は風情がある。
ただ、いざ筆で書こうとすると用意するもの、準備することが多く、正直面倒くさい。「花陶硯(はなとうけん) プチ硯セット」は、そんな手間を解消するソリューションになるかも。名刺入れに隠れるくらいのサイズで、準備も後片付けもスムーズ(詳しくは文末の動画をご覧ください)。場所を選ばずに筆文字を楽しめるこのセットは、ひとりの思いつきと、その後の試行錯誤を経て誕生した。
陶硯と有田焼
陶硯はその字の通り陶器製の硯で、「花陶硯」は佐賀県有田町で作られている。有田焼の発祥には諸説あるが、朝鮮半島から連れられてきた人たちが焼きものを作るのに最適な土地を探して有田にたどり着いたことが、海に面している唐津から有田にかけて今なお点々と残る窯の跡から推測されている。
有田焼は、大きく分けて窯元と生地屋からなる完全分業体制で作られる。主に飲食店の要望に応えて食器を制作することで栄えてきた産地の課題は、そのニーズが減り、競合が増えて価格競争に陥っていること。それにより長時間労働が常態化し、もともと身入りの少ない生地屋の数が特に減っているという。
「花陶硯」が生まれるまで
花陶硯を生み出した吉田 史郎さんは有田焼の製品を扱う商店の二代目。先代である父親からは、「誰もやっていないことをして『新しい焼きもの』の開拓をしなさい」と言われて育った。
吉田さんは「価格競争はしたくない」と話す。なぜかというと、商店である自分が無理をして受注を取ると窯元にしわ寄せがいき、窯元は生地屋に、と無理が連鎖しかさむから。そのため、以前から有田焼を活かす新しい道を探っていた。
そんな中、九州陶磁文化館で見たのは鍋島藩の殿様に献上された陶硯。幼い頃から書道を嗜んできた吉田さんがその陶硯に感銘を受け「自分が作るのは有田焼の硯だ」と決意したことから、試行錯誤の日々が始まった。
まず、商人である吉田さんがものづくりのプロである職人に陶硯のアイデアを話しても、「お前は何を考えているんだ」とまったく相手にされない。なので、「これは自作するしかない」と本業が終わった後に夜遅くまで試作する日々が続いた。しかし、苦労して作ったプロトタイプを職人に見せても「こんなもの、すぐ割れる」と箸にも棒にもかからない(実際よく割れた)。
自分の時間を使っているとはいえ、一向に実現しない陶硯づくりに家族からの風当たりは強くなった。お金も飛ぶように無くなる。気づけば鍋島藩の殿様の陶硯を見て決意してから2年が経っていた。
このままではいけない、と一念発起した吉田さんは陶硯の「型」を作る。型づくりは初期投資。元を取るため覚悟が求められる。退路を断って土の選定、焼き方など各工程を工夫し、型を用いて成形したところ、均一な厚みになって割れなくなったという。
吉田さんはこうしてできた陶硯を、東京ビッグサイトで開催された見本市に出品する。ようやくできた陶硯、関連して展示したいものも多く、意気込んで3ブース分のスペースを手配した。
そうして行われた数日間の見本市、売れた陶硯の数は、、なんとゼロ。家族の反対を押し切って開発、出品した手前、何ももたずに有田には帰れない。吉田さんは会場で交わした名刺を頼りに、出張期間を延ばして一件一件訪問した。すると、その中のひとつ、小学館の雑誌「サライ」で取り上げることが決定。これが後に年賀状づくりに最適、と100セットほど売れることになる。
花陶硯・硯に込めた秘訣
その後も改良を重ね、現在の製品へと至る。吉田さんは「製品には特別な技術は使われておらず、従来の技術の組み合わせでできている。ただし数千通りにもなるそれら技術の組み合わせに加えて、書道を知るからこそ感じる様々なユーザーのニーズをどのように製品に反映させるか、そのバランスが難しかった」と語る。書に慣れ親しんでいる人と初心者では硯に求めるポイントが異なるという。
硯の命は磨墨(まぼく)性能で、書道家もこれを追求する。一方で初心者はデザインや取扱のしやすさ(サイズ、重さなど)を重視する。吉田さんが目指したものはこの2つを両立させる、「持ち運びできる最高級の硯」。花陶硯は、高品質な硯ほど重くなることが常識とされる中で、書を楽しむシーンを広げる「書道のイノベーション」となった。
すべては有田を盛り上げたい、筆文字を身近にしたい。九州陶磁文化館で決意した花陶硯が、やっと現実になった。
※硯の色、デザインは商品と異なります。
万年筆やボールペンはもちろん、筆ペンでも出せない濃淡ある筆文字を手軽に楽しめることから、「花陶硯 プチ硯セット」は男女問わず愛用されているとのこと。一般的な黒い硯と異なり陶硯は墨が摺れているのを視認できる。何より軽く、省スペース・準備も簡単なのでカフェやオフィスで一筆書くのにぴったり、と好評です。
晴れた日にアウトドアで一筆したためるのも格別です。
・「花陶硯 プチ硯セット」の使い方(動画)
花陶硯 プチ硯セット内容
○硯
有田焼の特製硯は、墨の色がわかりやすい陶磁の白。
※「松」・「竹」・「梅」からお選びください。
○墨
彩墨は伝統的な製法を今に伝える三重県鈴鹿墨。伝統工芸士 伊藤 亀堂氏による作品。
※黒を含めて5色の中からお好みの色をお選びください。
○筆
広島・熊野筆の特注品。化粧筆のようなステンレス軸の収納式。
箱は馬革製、スポンジ・スポンジケースが付属します。
商品詳細・配送・お問い合わせ
ご購入の際の注意点
- この商品は株式会社SoGooが販売、有限会社吉田陶芸が発送します。
- ご注文のキャンセル、内容変更(追加/変更)は一切お受け致しかねます。ご注文完了前にご注文内容を必ずご確認ください。
- 商品の品質については万全を期しておりますが、万一、配送中の事故等で商品に損傷があった場合や、お申込みの商品と異なっていた場合は、お手数ですが、商品到着後5日以内に弊社にご連絡ください。この場合の返送料は、弊社が負担致します。
①硯
有田焼の特製硯。白い陶磁器なので墨の濃度調整も容易です。
サイズ:約11×4.8×1.4cm
②彩墨
三重県鈴鹿墨。小ぶりですが、一度に摺るのは少量なので驚くほど長もちします。
サイズ:彩墨 約5.5×7×5cm/箱 約8×3.4×8cm
③筆
化粧筆で有名な広島県熊野筆の特注品。筆先を絞っているため思い通りの線を引きやすいです。
レザー付き
サイズ:約8.5cm(収納時)/約14.2cm(使用時)
④収納箱
馬革製。手軽に持ち運べるコンパクトなケース。
⑤スポンジ・プラスチックケース
スポンジに水を含ませておけば、水場のない場所でもご使用になれます。
書くときは水滴を垂らして墨を摺る水に、使い終わったら強めに絞って硯を洗う水として。